IS ( Islamic State )


ISについて書く前に、まず中東におけるテロの経緯について簡単に触れておきたいと思う。

中東でテロ事件が起きるようになったのは、1979年頃の事らしい。
この年の春分図を観てみると、蠍座の天王星を軸に射手座の海王星、天秤座の冥王星と共に変則ヨッドを形成している。
また土星は乙女座にあって、火星は魚座でオポジションと云う配置だ。このオポジションに前述のヨッドの一角を占めている海王星が加わると、Tスクエアと云う、ヨッドほど特殊ではないが影響力の大きい特殊座相を形成する。

射手座は宗教や貿易に関わりが深い星座で、海王星は液体やスピリチュアルな目に見えないものを表す。
つまり、この射手座の海王星は端的には石油や宗教上の理想郷のようなものを表していたと考えられる。また統計的に見て、乙女座に異変があるときは中東で異変が起きる傾向があると言われているので、ここに火星が加わっていると云うことは、石油資源や宗教的な価値観を巡って、中東で争いが起き易い時期だったと云うことを示している。

 

そして冒頭の変則ヨッドだが、蠍座や蠍座の支配星である冥王星は地下活動や地下組織と関わりの深い星で、支配星の冥王星は外交の星座である天秤座に座し、蠍座には改革や革命の星・天王星が座している。

これを一言で言い表すなら、この時期の中東は石油資源で得た利益を先進国に搾取されていた(?)から、そのことに対するアンチテーゼとして、自らのアイデンティティであるイスラム教をペースとした価値観のもと、本来あるべき外交・貿易システムの形に改革することを期待してテロ事件を起こすようになった・・・と考えられるのである。

しかしながらこの頃はまだ散発的で、本格的にテロが頻発するようになったのは、1991年の湾岸戦争以降の事だという。

では本題のISについて、チャート分析をしていこう。

 

左図は(ISは国際的には国家としては認証されていないが)事実上の国家樹立宣言となった、カリフ宣言の日のチャートである。時間は不明なので正午で作成している。

 

一番目をひくのは、蟹座の太陽と山羊座の冥王星のオポジションを軸に展開される、二つの特殊座相だ。

ひとつはこのオポジションに魚座の海王星と、蠍座の土星が加わって形成されている、カイト。これは理想の国家樹立の為のテロリズムを表しているが、大惑星が全て逆行しているので、正当な形ではなく、ねじれた形で現れやすい。

 

もうひとつは、太陽━冥王星に牡羊座の天王星と天秤座の火星が加わって出来た、グランドクロスである。端的にいえば、これはもう戦争のアスペクトである。それも、「革命」のための戦争である。しかし、この天王星はドラゴン・ヘッドから否定され、他の大惑星は先述の通り逆行している。

結論から言えば、この組織が国際社会から認められることはないし、改革も上手く行かないだろう。

だが強烈な特殊アスペクトが、二重に重なっているため、国際的な影響力は非常に強い。

仮にIS本体が弱体化しても、いわゆる暖簾分けではないが、細胞分裂していくかのごとく拡散していく。新しい勢力を数多く作ってしまうだけなのだ。
だが、このチャートの有効期限はおよそ30年だ。
言い方を変えれば、ISの影響力を消したり、活動を停止させられるのには30年くらいかかると云うことになる。

ISは交渉できない組織だといわれるが、その理由のひとつが、逆行する惑星が多く、組織の意識が内向きで、表現も仲間内にしか通じないようなコミュニケーションの仕方をする・・・御幣があるかもしれないが例えていうならば、「経済的にゆとりのある家に生まれた引きこもり(もしくはヤンキー)の息子」か。
無論ヤンキーも引きこもりも当人だけが悪いわけではなく、たいていの場合は親子関係が影響しているものだ。
この辺りが解決に向かわせる鍵のひとつになるのかもしれない。

すなわち、子供に変わってほしいならまず親が変わること。ISにとって親に当たる存在は何なのだろう?
中東の国家指導者たちなのか、イスラムの指導者たちなのか?あるいは利益を搾取してきたであろう欧米なのか?
非常に難しいことではあるが、ISが仮に引きこもりの暴力息子だとするならば、(ISを)壊滅させることよりも、成長させ脱皮させることを考えるべきなのだろう。

ISが勧誘のターゲットを「人生に不満を抱いている者、社会に疑問を感じている者」にしていることを考えれば、なるほどと、うなづける部分もあるのではないか。